大学院卒ニート、しやわせになりたい。

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聞いてた話と違う・パチスロ生活者が異世界転生した小説2話。

「あなた、旅人の人ですか?」

木陰にいた女は、俺に対してそう言った。林の側に人影を見て、近寄ってみたら、向こうから声をかけてきた。失礼な話だが、変な格好の女だった。なんと言えばいいんだろうか?オランダの民族衣装……という表現が正しいかは分からないが、声と顔立ちから察する年齢からすると、ずいぶんと少女趣味だ。痛い。だいぶ痛い。初対面の人間の服装の痛さを指摘するのは失礼な話だが、痛い。

この人が、毒の飴で精神を破壊された俺の面倒を見る、介助の人かと思ったのだが、俺のことを知らないようだから違うようだ。旅人の人という意味が分からないから、返答に困っていると、それを察したのか続けた。

「ここは、街道が近いから、あなたのような人がよく通りすぎるんです。」
「そうですか。」

よく意味が分からなかったから、適当な返事をしてしまった。要領を得なかったからか、女は会釈をして、離れていった。いよいよ、頭が混乱してきた。死後の世界だとすれば、普通に生きている人間が話しかけてきた。なんらかの療養施設だとすれば、介助の人間がいるのじゃないか?と思ったが、そうじゃなかった。もしかして、毒の飴を食べて、泡ふいて倒れた記憶こそフェイクで、自分は観光旅行か何かで、丘で昼寝をしてたんじゃないだろうか?考えても答えは出ない。自分から離れていく女の後ろ姿を見ると、不安に襲われた。

尾行することにした。ここがどこかは分からなくても、人がいるところにいれば大丈夫な気がした。日本は平和な国だ。安全神話。困れば話しかけて相談すればいい。毒飴を食わされたことを思い出すと、矛盾している気がするが、少なくとも知らない人に話しかけてくる人は、悪いヤツではないだろう。

女を尾行していると、徐々に人家などが見えてきた。その風景を見ながら、俺はある可能性を考えだした。そう考えてしまった方が楽なのじゃないか?とも思った。ここは天国でも地獄でもなく、はたまた、記憶に障害をきたしたわけでもない。記憶が戻ったのだとしたら、またパチスロを打つ日常に戻れるのじゃないか?と思っていたが、それは不可能だろう。この街にパチンコ屋はないだろう。だって、風車とかあるから。オランダか。

人家が増え、集落が近づいて来た。オランダとか、スイスとか、テレビで見たことあるような町並みだ。女は、その外れの方にある家に入っていった。壁はレンガで出来ていて、家の前には広い目の庭がある。一人で住むには大きく思えるから、家族と住んでいるのだろうか。バタンと女は家の中に入っていった。今さらだが、荷物を持っていたところから考えると、買い物の帰りだったのだろうか。

女の家の前で尾行を終えた。ここからどうしたら良いのだろうか。頭の中に思い浮かぶ典型的なパターンとしては、あの女に家に一晩泊まってから、物語が動き出す……という感じなのだが。ええい、ままよ!とドアをノックした。

「実は、旅人の人なんです。」

出てきた女に言った。女は「そうですか」と言い、俺を村の自警団の駐屯所に案内してくれた。この村には、度々、所在不明の旅人が現れるらしく、駐屯所で保護することになっているらしい。こうして俺は、とりあえず、今日の宿を確保できた。

……なんというか、聞いてた話と違う。思ってた展開と違う。聞いてた話と違うと言えば、旧イベ日のバジリスク絆2の朝イチ台に有利区間ランプが点灯していたことを思い出した。あれが変更対策だったのか、ガチ据え置きだったのかは、もう確認できないかもしれない。

余談。

主人公が「は!俺は異世界転生したんだ!」とか、言っちゃった方が、書くのは楽です。たびぶん。