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【メルカリ小説】古新聞を出品したら飛ぶように売れてわろた1話「だって、コロナでアルバイトがなくなったから」。

新聞にコンプレックスがある。小学の時に、ベニヤが剥がれたような木製のボロの玄関の戸が、金属製のドアにつけかえられた。ドア以外はボロだったのだけど、そのドアは、まるでテレビに出てくるお金持ちの家のドアのようだった。そのドアに、誰が犯人だったのか分からないが、私の両親の思想信条を否定する落書きがされた。釘か何かで、引っ掻いて傷がつけられていた。

大学四回生になった時に、助教授(当時は准教授という言葉はなかった)の部屋を掃除すると、大量の古新聞が出てきた。私の実家が購読していたモノと同じだった。それをみて、当時の院生だった研究室の先輩は、その新聞を揶揄するようなことを言った。先輩は、応援団に所属していたが、応援団員も応援しないものがあるんだな、と思った。

家の新聞を話題にしたことはなかったが、研究室の一件が特にショッキングであり、サークルの後輩を実家に招いて、家飲みなんかをした時は、茶の間に転がっていた、その新聞を隠した。

それから10年以上経過して、みんな当たり前のように、スマートフォンを持つようになり、メルカリなるフリマアプリも流行った。テレビでも取り上げられるようになり、空き瓶とか、トイレットペーパーの芯であるとか、そんなものも出品され、しかも購入されているらしい。なんとはなしに、「古新聞」と検索してみると、梱包用などで出品されている中で、私のコンプレックスの一つである、あの新聞も出品されていた。

目を疑った。どうやら、日曜版で特集されている芸能人の対談記事がアピールされての出品らしい。出品されているのはさておき、購入されているということは、私の家の玄関を釘で傷をつけた謎の近隣住民(かどうかは分からないが)や、助教授のことは応援しなかった応援団員のように、毛嫌いしない人もいるのだと思った。それは、あたりまえのことかもしれないが、なんとなく古新聞と検索しなかったら、気付かなかったことかもしれない。

それから、そのことも忘れていたのだけど、自分も古新聞を出品してみようかと思った。世界を混乱に陥れた新型コロナウイルスの第24波の影響で、長らく続けていたアルバイトが無期限休業となってしまったのが原因だ。コロナの登場は、日本人の生活様式を大きく変えた。多くの産業が衰退した。政府は経済再生のために、これまで48個のGOTOキャンペーンを行ってきたが、国民の困窮は留まることなく、ついには、ベーシックインカムと言うより、ほぼ共産主義のような社会になった。御年90歳を迎えた第100代総理大臣の安倍晋三首相の大英断だったと言える。「右も極めると左になる」という言葉が流行語大賞となったし、北方領土問題も解決した。北方領土は、正式にロシア領となった。

世の中が大きく変わったせいか、私がコンプレックスに思っていた新聞も、掲載されている記事の芸能人目当てか、そこそこ売れるようになった。日曜版だけをしばらく売っていたのだけど、日刊版も売ってみることにした。毎日、なんらかの特集記事があるし、時事を扱った問題などの記事も売れたりした。今だと、安倍首相が105人の任命を拒否した学術会議問題などの特集記事などが売れた。購入者にユーチューバーがいたので、チャンネルを確認してみると、私から購入した新聞をビリビリに破っていた。まあ、いいんだけど。

どうやら、新聞はけっこう売れるらしい。キロ単位で売っている梱包材などの用途で売るよりも、内容に注目した方が売れるようだ。基本的に、実家で購読しているのを、古新聞で回収に出す前に私が、メルカリに出品している状態だった。親と相談して、町内からも古新聞を集めることにした。商品にするから、キロ単価で10円くらい支払おうかと思ったけど、私が子供の頃から知っているご近所さんは、コロナで失職した私の立場を気遣ってか、古新聞は無料で提供してくれた。

さて、商品は集まったので、これまでと同じような方法で出品していく。ご近所さんで同じ新聞を購読しているので、種類と日付に分類して、それぞれでピーアールできる内容を調べていく。芸能人の対談記事などが分かりやすい。特に目立ったモノがない場合は、それこそ梱包用などの用途で販売した。また、新聞以外の商品を発送する場合は、売れなかった新聞紙を梱包材として使った。

出品金額は最低金額で300円。人気の芸能人の場合は500円くらいまで値上げをしたりした。送料は200円くらいで、利益は100円くらい。手間を考えると、あまり儲からないのだが、ただ家でゴロゴロしているよりは、手を動かして、作業をしている方が、前向きな気持ちになれる。それで生活していけるのか?と言えば、微々たる金額ではあるのだけど。

出品した全ての新聞が売れるわけではない。日々、集まってくる新聞の山で作業場所にしている使ってない部屋が手狭になって来た頃に、売れなかった新聞の扱いを考えていた。出品を取り下げて、廃品回収に回そうか。そんな風に考えていた時に、メルカリで問い合わせがあった。問い合わせ内容は、「何月何日の何々新聞ないですか?」という内容だった。ちょうど、出品していた中で売れなかった新聞がそうだったので、商品ページのURLを伝えたら、ほどなくして購入されて、お礼のメッセージが来た。

何気ないやりとりではあった。ただ、出品していた商品にたどり着かなかった人がいたことは大きなヒントとなった。新聞は毎日出るものだから、常に新しいモノが売れるイメージがあったのだけど、古い古新聞が売れることもあるようだ。

何かのヒントを得た。新聞出品を始めてから、売れなかった新聞を確認してみると、実家でとっていた新聞の日曜版で、あの草なぎ剛さんの対談記事が掲載されていた日のものが、売れ残っていた。草なぎ剛さんと言えば、大河ドラマ「麒麟がくるⅣ」に出演が決まり、話題の人だ。商品ページの文言を変更して、価格を100円だけ値上げしてみた。そうすると、最近出品したものよりも早く購入された。後から知ったことだが、100円以上値上げをすると、新規の出品よりも上に表示されて、注目度が増すらしい。それ以外の方法で古い商品を上部に表示するには、ページを削除して再出品する必要があるらしい。

売れ残った商品を再出品するのもバカらしいのだけど、草なぎ剛さんのように、そもそもの知名度が高い人の場合は、あえて値段を上げるようにしてみたら、それが契機となり売れることもあった。

当たり前の話しかもしれないけど、より時間が経過したことで、購入に繋がることもあるらしい。調べてみると、私が出品していた新聞は、他にも出品があり、それらは購入済みだった。

非常に些細なことかもしれないが、草なぎ剛さんの対談記事が売れた一件が、私のメルカリ古新聞売りに大きな影響を与えた。そして、これは、メルカリで人生が変わった私の物語である。