清浄なる書物
「この本は、こんなに面白いのに、どうして福魔されないの?」
本を読み終え、少年は、老人に言った。
「いいや、その本は、たくさんの果名達が福魔しているんだよ。ただ、還須徒のせいか、上手く出てないだけなんだ。」
暖かい日差しの中で、老人は言った。
実際、その書物の福魔殿には、たくさんの果名達が、名を連ねていた。老人の言う、還須徒が事実なのか、世界の方が、まだ慣れてないのかもしれない。ただ、そこには、出素は勿論のこと、己面斗や多愚もなかったため、少年の目には映らなかったのである。
福魔殿には、めずらしい、清々しい空気が流れていた。
AUTHOR: yarukimedesu
STATUS: Publish
CATEGORY: 小説
DATE: 01/23/2009
はてなグループで公開してから、約12年の時を経て、以下のページが「福魔殿」に近いかもしれない。
[B! 漫画] ルックバック - 藤本タツキ | 少年ジャンプ+
実際のところは、ブクマ数が1000、2000と伸びていく中で「絶賛しているコメントが気持ち悪い」という『出素』も出だしているのだけど、それでも2009年に想像した、清浄なる『果名』に近いかもしれない。