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小説:幽☆遊☆白書の話を部長が始めたら、戸愚呂兄弟を髑髏兄弟と間違ってるし、弟と兄も逆に覚えているし、飲み会をきりあげて早く帰って寝たい。

幽遊白書 幽助と戸愚呂兄弟 46 カード

部長は気を使ってくれたのかも知れないけど、楽しいと思える時間はほんの刹那だった。いや、楽しいという気持ちに至る前に、気持ちは冷え込み、帰りたくなった。後は地獄。世の中はクールジャパンとかなんとか言っても、オレと部長の距離は縮まらない。

「そうそう、幽☆遊☆白書の……サングラスと小男の!そう!髑髏兄弟!あのコンビが好きだったなぁ。」

急に幽☆遊☆白書の話を部長が始めた。おそらく戸愚呂兄弟を髑髏兄弟と間違ってる。

「はぁ!?」

オレは、思わず相手が上司であることも忘れて、大学の頃からの友達に向けて放つような素っ頓狂な声を上げてしまった。それを聞いて、部長の眉がピクリと動いたような気がする。もう、帰りたい。

「はぁ……はぁ、は……いや、すみません。大竹部長からマンガの名前が出るとは思わなかったモノで、思わず大きな声を出してしまいました。ま、マンガとかお読みになるんですね。」

「まあ、読んでたってのが、正確なところかな。週刊少年ジャンプの1990年51号からの連載だから……ざっと計算して、25年前か。私が大学生だった頃だよ。」

部長は、オレの反応を確認するかのように、オレの顔を眺めて、そして目を見ながら、話した。なんでこんな話をしたのだろうか?いつも飲み会で仕事の話ばかりで堅苦しいと、同期の連中と話しているがバレたからだろうか?よりによって、商談終わりで二人で飲みに来ている時に、こんな話をするなんて……。

「まあ、1994年32号までの連載で、終盤は魔界統一トーナメントなんかになったけど、私は、暗黒武術会編が好きだったなぁ。」

部長は、手の中のウイスキーグラスを弄びながら、言った。

「そうですね。僕も、その頃が好きですね。」

「なあ、髑髏兄弟の兄。あいつが強くて、もう絶対に死ぬんじゃないか?と思いながら、ハラハラしながら読んでいたよ。」

「え、ええ。と、戸愚呂兄弟は強いですよね。」

オレは部長が間違いに気付くのじゃないかと「とぐろ」の部分は、ゆっくり発音してみた。

「そう。髑髏兄弟な。」

だめだった。

「あれが、仙水忍編になったら、B級上位妖怪だとか、ふざけんな!って思ったもんだよ。」

「そ、そうですね。と、戸愚呂兄弟がB級で、上にAとか、Sとかいたのはびっくりしましたね。霊界のなんでしたっけ?蔵馬を追い込んだA級妖怪を倒せるチームとか呼んだら、と……と、戸愚呂兄弟倒せたのじゃないか?って思いましたね。」

「やめないか。そういう話は。」

……し、しまったぁ。調子こいて話過ぎたのだろうか?何かの逆鱗みたいなのに触れかけたのか、部長は少し大きな声をあげた。

「や、すまない。私の中で暗黒武術会編が至高だと思っているのと、当時のジャンプのパワァインフレ展開を考えるとね。そういう揚げ足取りみたいなのは、好きじゃあないんだ。」

「す、すみません。軽率でした。」

……なんで謝ってるんだオレ。

「いや、いいんだ。いいんだ。話を戻そうか。」

「はい。」

……戻されてもな。部長は、おつまみのチーズや、アーモンドを口に運び、ウイスキーを一口飲んだ。

「いや、私はね、髑髏兄弟が好きなんだけど、兄の方が好きなんだよ。」

「はあ、珍しいですね。」

「そうかね?いや、あの玄海との別れのシーンとか、思い出しただけで、涙が出るねえ。そうだろ?筋肉操作の100%中の100%とか、本気で浦飯幽助は勝てない!死ぬんだ!って思って読んだもんだよ。いや、私ぐらいの世代の大学生って言っても、こんなもんだよ。」

「は、はあ。」

ああ……幽☆遊☆白書の話を部長が始めたら、戸愚呂兄弟を髑髏兄弟と間違ってるし、弟と兄も逆に覚えているし、飲み会をきりあげて早く帰って寝たい。

「いやね。髑髏兄に比べたら、髑髏弟なんてクソみたいなもんだよ。あの小男は。まあ、左京の遺志を引き継いで魔界の扉編に再登場したのは、評価するがね。でもそれは展開の話であって、あの小男は、死にすら値しない男だよ。本当に。」

「え、ええ……。」

「いや、すまないね。熱くなってしまって。意外だったろう、私がこんなにもマンガのことを語るヤツだったなんて。わはは。」

「そ、そうですね。幽☆遊☆白書で、しかも、と、と……戸愚呂兄弟が好きってのは、少し意外でしたね。」

「沢村くん。」

オレは沢村。

「はい。」

「君ね。さっきから、時々間違えているけど、『とぐろ兄弟』じゃあなくて『どくろ兄弟』だからね。間違って覚えているのかも知れないけど、面と向かっている私が『どくろ』って言っているんだから、ちゃんと気付かないと。それとも、酔っているのかな?ん?」

「は、はぁ!?」

その後は、もうどうでもよくなって、部長のおごりだから、やけくそになって吐くまで飲んだ。

「それそれ!指弾だ!指弾だ!」

部長も楽しそうだった。そして、入間の夜は更けていった。

この小説を以下のページ(趣旨とは違うけど無理やり)捧ぐ。

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