大学院卒ニート、しやわせになりたい。

働かないで、アフィリエイトとか、ユーチューバーで幸せになりたいです。

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「失恋チョコラティエ、久しぶりにドラマにハマちゃったわ」「先輩にツッコミたい」

急に食事に誘われたと思って、先輩をウキウキウォッチングしていたら、行き先は立ち食い蕎麦屋で「今日はおごるからね♪」と言われたけど、鴨南蛮とか注文するのは気が引けるな…と思っていた矢先、先輩はため息混じりに言った。

「失恋チョコラティエ、久しぶりにドラマにハマちゃったわ。」

「え。」

失恋ショコラティエ(7) (フラワーコミックスα)

先輩。スペック。31歳。美人。独身。スタイルも良くて仕事もできる。

オレ。スペック。26歳。全部普通。独身。

「オレ君はドラマとか見る方?」

蕎麦を待ちながら、先輩はそんな他愛もない話をしてきた。特に意味はないんだろう、それでも期待してしまうのは、もにょもにゅならではのモノだろうか。

「オレは、まあ、そんなに見ない方ですね。相棒とか見ますけど。」

「ふうん。まあ、私もそんなに見ないんだけどさ、月曜日の失恋チョコラティエ。あれ、CMがエロいから、ちょっと見ちゃったらドハマりしちゃってさぁ。」

「は、はぁ…。」

僕の隣で、そんななんでもない話をする先輩は、蕎麦屋にいてもキュートな存在で、目の前に並んだ割り箸や七味唐辛子などなどもテレビのセットに思えてしまうくらいなんだけど、いつもは仕事には厳しい方で、些細なミスも許さない。この間も、報告書の平成だか年号だかですごく怒られた。

「なんか、漫画が原作なんだってね、チョコラティエ。」

「へえ、ショコラティエってことは料理漫画とかですか?」

「ううん、チョコラティエが主人公の少女漫画なんだって。」

「へ、へぇ…。」

そんな些細な話題をしながら、蕎麦がやってきて、先輩は鴨だし蕎麦を、僕は餡かけソバと稲荷を食べることになった。稲荷は先輩が遠慮していると思ったらしく、追加で注文してくれた。

「結局、失恋チョコラティエって現実逃避の話なんじゃないかな?って思うのよね。」

「へ?」

「そんな上手い話ないっつーの、みたいな。設定ができすぎているとか、とんでもなんて話もあるみたいだけどね。チョコラティエ。」

「まあ、漫画が原作だからじゃないですか。ショコラティエ。」

「うーん、まぁね。でも、有り体だけど、別に失恋した訳じゃないし、結婚もしてないし、全然違うけど、失恋チョコラティエみたいな恋をしたいなー…なんてね。」

それを聞いて僕はドキっとする。先輩は蕎麦を食べ終わり、鴨だし蕎麦の出汁に浮かんだネギを箸でつついたりしていた。その出汁は最後まで飲むのだろうか。そんなことを考える。

「はは、失恋ショコラティエって不倫みたいな話ですよね。ハードル高いっすね。」

「オレ君ちょっといい?」

「なんですか?」

先輩は、持っていた割り箸を、割り箸袋で作った箸置きに置いて、僕の目をじっと見て言った。

「さっきから気になってたんだけど、『ショコラティエ』じゃあなくて『チョコラティエ』なんだけど?オレ君の地元では『チョコ』のことを『ショコ』って言ったりするの?」

電撃が僕の身体にエレクトリック・サンダー。心がヴァーチカル・ローリング。覚悟なんてものは一気に完了した。

「先輩にツッコミたい。オレは先輩にツッコミたいです。」


こうして僕と先輩は漫才コンビ『ブラック企業ボンバー(BKB)』を結成することになった。後、結婚した。夜も漫才師。先輩のボケと僕のツッコミが冴え渡る。僕のツッコミ、活躍する、ベッドで。 BKB!ヒィーア!