大学院卒ニート、しやわせになりたい。

働かないで、アフィリエイトとか、ユーチューバーで幸せになりたいです。

スポンサーリンク

小説「四股っちゃう。相撲取りじゃないのに。」

臨床心理学者・尾谷猿彦氏の最新の研究発表は、「学食で同じメニューを食べ続けたら、学食のおばちゃんに言わなくてもメニューが出てくる現象」に関するもので、その現象は、氏により「きしめん」と名付けられた。くしくも、氏の一つ前の研究発表、「学食で他の人が食べている物が食べたくなる現象」につけられた名称、「きしめん」と同一のものであった。

尾谷氏は、現在の研究分野は臨床心理学であるが、学生時代は、文化人類学を修めていた。その修士論文は、人類の「知恵の発生」に関わるものだった。文化人類学の修士でありながら、後に臨床心理学者に転身した理由は、早食い、食い逃げ、健康診断結果の無視など、様々ではあるが、ここでは割愛する。

先日、尾谷氏と会食した時のことである。会話した内容の8割は「民主党政権時代へのディス」であったが、残り2割は、興味深い話をしてくれた。残り2割のうちの80%ほどは、相撲の話であったが、残りの20%は、氏が大学院の時に研究した内容であった。

「人間ってのは、だいたい、猿なんだよ。」

氏は、知恵の発生に関して研究していた。世界史の教科書などで図表などで紹介されることの多い、オマーンのスコッティ洞窟の壁画などが、特徴的であるが、人間の営みと同時に動物が描かれることが多い。

例えば、それは狩猟の風景であったりする。その場合は、弓矢に追われるシカや、イノシシが描かれることが多いが、そういうものが教科書で紹介されることが多いが、例えば、草を食んでいる草食動物であるとか、猿が描かれることもある。

特徴的なのは、猿が果物を食べたり、木のウロに果物を隠したり、大きな葉で雨風を防ぐような姿も描かれる。それは、日本における鳥獣戯画を連想させるものもある。氏は、それは、氏の所属した研究室の継続研究のテーマでもあるのだが、人類は、動物の営みからも、知恵を発生させていたと考察されている。つまりは、猿真似である。動物が食べている植物は、人間が食べても大丈夫であろう。特に、外見上の特徴が人間に似た猿からは、多くのことを学んだという。

尾谷氏が言うには、四股。四股、つまり、相撲の動作の中にも、猿から学んだモノがあるという。それが、氏の修士論文のテーマであった。猿が相撲をとるというのは、初耳であったが、猿は相撲の楽しさ、四股を覚えると、死ぬまで、四股を取り続けるという。

なるほど、氏が見せてくれたスコッティ洞窟の壁画を見ると、登り棒をしていたり、大きな岩の角、木の幹などに体を打ち付ける稽古や、竹筒を上下に動かす様子などが描かれている。画風こそオリエンタルではあるが、それは、まさに鳥獣戯画のようであり、猿が相撲を取り続ける様子は、漫画的であった。

原始人に、このような遊び心があるのかと関心する傍らで、尾谷氏は四股について、熱っぽく語っていた。

「四股、四股はいいぞ。できれば、生涯現役でありたいものだね。」

最後は、私もどろどろ酔っていて、尾谷氏とどのように別れたかも覚えてないのだが、猿と四股の話は、氏の熱っぽさにあてられたのか、鮮明に覚えていた。

先日、尾谷氏からLINEで連絡があったのだが、今は臨床心理学として、朝活、朝の相撲、四股。四股の啓蒙に取り組んでいるらしい。

「朝四股はいいぞ。嫌なこと全部忘れられる。」

LINEに綴られた氏のメッセージ。既読スルーは気まずいので、猿のスタンプを送っておいた。かくいう私も朝相撲に取り組んでいる。明日四股に備えて、夜四股して、寝ようと思う。おやすみなさい。

編集部・注。

以上が、ジャーナリスト・増谷垣助氏からの寄稿文なのですが、【コンプライアンス】に基づき、一部、加筆修正を行いました。文意を失わないようにつとめましたが、色々と限界があり、このような体裁となったことをお詫びします。本来は、相撲に関する内容ではなかったことをお伝えします。よしなに。