オレ「あー、詰んだ。人生詰んだ。詰みすぎ。無職だし、臭いし、近いうちに自殺しそう。」
野球の神様「お前には野球の才能が死ぬほどある。」
オレ「なんだお前わ。」
野球「神様じゃ。」
オレ「神様だと!?ウソこけ。」
野球「むん。テレビをつけるがよい。」
オレ、半信半疑でテレビをつける。
オレ「うお!ロサンゼルスが滅んだ!?」
野球「これで分かったろう、わしは神様じゃ。」
オレ「俺を信じさせるためだけにロサンゼルスを滅ぼすとは……確かに神じゃないとできないことだ。」
野球「今日は、お前に伝えたいことがあってやってきた。神託じゃ。」
オレ「俺になんの様だってんだ。」
野球「お前には野球の才能が死ぬほどある。」
オレ「野球、ウソつけ?なんで神が野球を語る。」
野球「むん。テレビをつけるがよい。」
オレ、おそるおそるテレビをつける。
オレ「うお!滅んだロサンゼルスがまた滅んだ!?」
野球「わしは、野球の神様じゃ。」
オレ「その事実を俺に伝えるために、ロサンゼルスを二度滅ぼした意味。」
野球「お前は、お前の人生に悲観しているが、お前には、死ぬほど野球の才能がある。そのことを伝えに来た。お前は、メジャーも羨む野球の才能がある。人生を諦めるでない。」
オレ「俺、もう37歳なんだけど。」
野球「もしも、お前が野球をやっていれば、今頃は『イチローよりもすごい』と称賛されていただろう。」
オレ「なんだって…!?」
野球「メジャーリーグはもちろん、その上のモジャーリーグにだって、行けたであろう。」
オレ「モジャーリーグだって!?なんだそれは……。」
野球「メジャーリーグの中で選ばれた者だけが進める伝説のリーグとだけ言っておこう。」
オレ「なんだその、コロコロコミックみたいな設定は……。」
野球「野球の神としては、お前が野球を選ばれなかったことが悔やまれる。野球を選んでいれば、『イチローよりすごい選手』と殿堂入りしていたろう。」
オレ「いちいちイチロー基準なのが気になるが、そんな可能性が俺にあったとは……。」
野球「優香とも結婚していた。」
オレ「なんだって……!?」
野球「37歳のお前に、野球の才能を活かす方法はまるでないが、胸を張って生きて行きなさい。」
オレ「そんな……例えば、コーチとか、野球解説者とか、そういう道はないのか?」
野球「野球に関するキャリアがないことが悔やまれる。」
オレ「くそう!」
野球「それでは、さらばじゃ。」
オレ「待ってくれ!最後に教えてくれ!具体的には、俺はどういう野球の才能があったんだ!?」
野球「変化球じゃ。」
オレ「ピッチャーか。」
野球「それも、フォーク。」
オレ「決め球はフォークか。」
野球「イチローよりも落ちる。」
オレ「イチローよりも!?お、おう、まあ、そうか……。」
野球「さらばじゃ。」
野球の神様、去る。
オレ「……大したオチもなかったが、俺が野球やってたら、この話も落ちたんだろうか。フォークだけに。」
野球「むん!」
オレ、テレビをつける。
オレ「うお!二度滅んだロサンゼルスが三度(みたび)滅んだ!?」
了。