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すごいマンガを読んだ。

すごいマンガを読んだ。久しぶりに心に突き刺さり、モヤモヤが頭から離れないで、半日くらい内容を反芻し、読解しようと、ぐるぐると考えていた。ものすごいメッセージ性があるのか、もしくは、作者の頭の中もマグマのようにドロドロなのか、そんな風に思った。

私は、演劇や小説をやっているけど、世の中には、もっともっと、とにかく表現したくたたまらない人がいるのじゃないか、とここ数日考えていたのだけど、まさにそんな風に思った。

簡単にあらすじを書いてみると…。

2人の上手く生きれなかった大学生が死を覚悟して、というより自殺を前提として、死ぬまでの間、もう逃げられなくなるまでの間、鬼畜の所業とも言える犯罪を繰り返し行い、そして、最期には多分、死ぬ…という内容。昨今、話題になる『無敵の人』という状態なのかも知れない。

上手く生きれなかったとはどういう状態だろうか。便所飯なんて言葉もあるけど、集団の中で孤立することは、この世においての最大の悲惨、ぼっちなんて卑小もあるけど、人と上手く関われないということは、死に至るまでの重大な状態ではない。実際、主人公2人は、結果的には共依存のような関係にあり、孤独ではなかったはずだが、2人で閉ざされてしまうのも、1人で閉ざされてしまうのも、あまり変わらないのかも知れない。

ただ、2人でいることで冗談が冗談じゃなくなり、小さな欲望が次第に加速していく結果となった。そして、もう引き返せない領域まで突入し、自殺に至る。マンガの内容的に、展開的に、かなりえぐかったのは、夢というかたちで最悪じゃない未来、2人の関係性的に最良の未来が描かれるという部分にあると思う。投げ出さずに、どこかで踏みとどまれば、それが一般的に見てどうかは別として、最良の未来があったのじゃないか…という部分が描かれてしまっている。これにより、とち狂った非モテ2人が、やけになって、犯罪を繰り返した後に死んだ……という内容ではすまない何か、そうじゃない可能性が描かれることで、最悪な2人に対して、結果死を迎える2人に対して、同情に近い感情を覚えた。


のだが、さらにこの作品のえぐいところは、終始、自分達の不遇な人生、上手く行かなかった人生の憐憫は描かれるが、自分達の行った行為、その被害者達への謝罪の感情は一切でてこない。と思った。深く読み取ればあるのかもしれないが、少なくとも私は感じなかった。

そのあたりが『無敵の人』と呼ばれる部分なのかも知れないが、内容に沿って考えてみると、欲望の発端がインターネットにあり、その欲望が増大、加速したのもインターネット。動画等々で追体験しているというか、犯行に至った時点で、それらは全てリアルじゃなくなっていたのじゃないか…と思えた。もちろん、他者の苦しみを理解する、同情するような感情があれば犯罪などおこなさないのかも知れないが、可哀想な2人という感じで、良い感じに終わっているように見せかけて、根底の倫理観は確実に欠如しているあたりが、恐ろしく、そして、憤りを感じた。

この辺りの部分は作劇においてノイズとなるから廃除されたのか、あくまで身勝手な若者2人を描くために必要なかった感情なのか、そもそも作者にその観点がなかったのか…は、分からないが、その辺りも頭の滞留時間が長くなった由縁だと思う。

インターネットで話題になったマンガだから、うっすら知っていたけど、読んでみて良かった。ただ、刺激が強すぎるのと、心の奥にある邪なる感情が増幅されそうで怖い。良書を読んだ時の、しばらく考え続けてしまう感覚は、久しぶりで良かったが、惜しまれるのは、人におすすめできない部分だろうか。