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ショートショート小説:保守新一Vol.1「国難突破は北朝鮮のおかげ」。

「北朝鮮のおかげ」。

またしても、ティー副総理の発言が問題となっているようだ。問題と言っても、先の衆議院選挙で惨敗した野党の議員たちが騒ぎ立てているだけのことだ。我が国と、近隣国家の緊張関係を考えると、不謹慎な発言とも思えるが、いわゆる、ジョークも理解できないとは……だからこそ、万年野党なのであろう。

総理大臣のエイ氏は、執務室で昼ごはんを待ちながら、今後の国会運営のことなどを考えていた。数年前、エイ氏の所属する政党、つまりはジェイ党が下野した時に、国会での野党の質問時間の配分を増やすように要求した。その後、ジェイ党は再び与党に返り咲いたが、その時の質問時間配分を見直さなければならないと、エイ氏は考えていた。

先日のティー副総理のジョークへの責任追求なども野党は行おうとしているらしいが、そんな時間などは国益に反しているだろう。ティー副総理が、漫画で培ったジョークには、エイ氏も毎回微笑んでしまうのだが、ティー副総理の発言は新聞などが揚げ足をとることが多いので、あまり、関わらないようにしている。それよりも、今は、野党の質問時間をどうするか?そのことが問題である。


「それはそれ、これはこれ」


エイ氏は、思わず呟いていた。そんなことはないだろうが、もしも、ジェイ党が再び下野したならば、再び野党の質問時間に関して、その時の与党に要求するだろう。つまりは、大局なのである。その時に、何が国民にとって、国にとって、利益になるのか?今は、ジェイ党が与党なのだから、野党に質問する時間を与えないということは、当然のことなのである。

そんなことを考えながら、エイ氏は、いくらか気持ちがイライラしたことに気づく。支持者からは「温厚」と親しまれている自分が、何をイライラしたのか?と考えると、ティー副総理のジョークではなくて、単純なことで、空腹に由来することに気がつく。エイ氏は、部屋に一人であったが、照れたような笑みを浮かべた。

エイ氏は、普段は外食することが多いのだが、今日は、選挙後の情勢などを考えつつ、総理大臣執務室で昼食をすることにした。出前である。選挙で体力を使ったせいか、特にお腹が減っているように思えた。今か、今かと出前を待ち、じれて内線に手をかけようとした時に、ようやく、岡持ちを持った店員がドアをノックした。


「入りたまえ」


エイ氏は、なるべく落ち着いた声で、室内に呼び寄せた。そうすると、江戸の職人らしいというか、きっぷの良い感じの男が、注文した昼食を持って、執務室に入ってきた。


「へい!盛り蕎麦、かけ蕎麦、お待ちぃ!」