大学院卒ニート、しやわせになりたい。

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第5話「子どもに暴力をふるう親はすぐに死ね、死んで地獄に落ちて一〇〇京回死んで二度と輪廻するな」ひじをついて飯を食うな!老いた父は鎖で腕を吊すように僕に命じた。

子どもに暴力をふるう親はすぐに死ね、死んで地獄に落ちて一〇〇京回死んで二度と輪廻するな。

「乳児に暴力をふるうなんて頭がおかしい。」

茶の間に戦慄が走った。憤っての言葉だったのだろうか、言った直後に自分の発した言葉の内容を理解して、父親は青ざめた顔をした。失言である。しかし、青ざめた直後に、顔は凛として、自身の失敗を受け入れる覚悟は決まったようだ。僕たち家族が父親を尊敬できるところは、こういう部分にある。

「こんなつもりでAmazonで木刀を買ったんじゃあないからね。買ったんじゃあないからね。」

何度も言いながら、僕は木刀をふるう。母は、暴れて木刀の打ちどころが悪くならないように、しっかと抑えている。おしゃれな布製の紐を使うようになって使わなくなった虎ロープを、またも使うことになるとは。天井から吊り下がった鎖を限界まで引き上げて、僕と母は、虎ロープをグルグル巻にした。父の命ずるように。

一度、打ち付ける度に「うっ」と声をあげる。僕は、自分の内側に湧き上がってくる熱い何かを抑えるように、抑えこむように、心を、頭の中を押し潰し、ただ柔らかいモノ、肉を打つように、自分が肉屋であるような気持ちにもなり、ただただ、木刀をふった。木刀の「ぼく」は、肉の内側にある骨まで到達した時の「ぼくっ」という音から来ているのじゃないか、そんな風に思った。ふと目の端に、顔をふせ、必死で耐えている母の姿が映った。泣いているのかもしれない。

「自分の発言には絶対に責任をもて。」

それが父親の言葉だった。いままさに、父はその言葉を体現している。何度も何度も木刀を振っていると、手首が痛く、まるで自分の手と木刀が繋がったかのような気持ちになる。父親は、僕の姉を殴っていた。子どもの頃。何度も何度も。父親は、世の中に起きている親からの暴力を語る資格を持たない。そんなことは分かっているはずなのに、六〇歳を前にして、頭が幾ばくかボケてしまったのかもしれない。

だが、父親は気付いた。気付いてくれた。自分から、この木刀の責め苦を申し出てくれた。でも、もしも、この先一〇年、二〇年して……そのことが自分で分からなくなったら、僕は、僕の意思決定において、父親に木刀を振る日が来るのかもしれない。覚悟が必要だ。だけど、その覚悟はまだできていない。

過去ログ。

「今日から食事をする時は、オレの腕を天井から吊るして欲しい。」

ガシャリと茶の間の食卓の上に鎖を置いた後に、父は家族にそう伝えた。何のことか分からないで、僕達が戸惑っていると、父は黙ったまま、仕事部屋から脚立を持ってきて、茶の間の天井に簡単な工事を始めた。

ひじをついて飯を食うな!老いた父は鎖で腕を吊すように僕に命じた・第1話「コドモの恨み」。 - 団劇スデメキルヤ伝外超

仕事柄、朝早く出かける父は午後の4時くらいには帰ってきて、ほとんど毎日、家族揃って晩御飯を食べる。食卓につくと、父は片方の腕は自分で手錠をつけ、もう片方は配膳を終えた母親がつける。

第2話「虐待のある日常」ひじをついて飯を食うな!老いた父は鎖で腕を吊すように僕に命じた。 - 団劇スデメキルヤ伝外超

母親に呼ばれて、Amazonからの荷物を受け取る。注文していた木刀が届いた。長い物をインターネット通販で購入したのは初めてで、「ネジ一本が段ボールに入って送られてきた」みたいなネタを読んだことあるけど、だから、段ボールで届くのかな?と思ったら、専用の筒のようなものに入って届いた。

第3話「Amazonで木刀を買ったのは、あくまで防犯目的なんです」ひじをついて飯を食うな!老いた父は鎖で腕を吊すように僕に命じた。 - 団劇スデメキルヤ伝外超

慣れというのは恐ろしいと思った。例えば、二十五歳の時に思い立って、朝のジョギングを始めた人がいたとする。五年ほど毎朝ジョギングを続けていたが、ある日、ふと、ジョギングを忘れて、その日からその習慣がなくなることがあるとする。

第4話「殺すぞ」ひじをついて飯を食うな!老いた父は鎖で腕を吊すように僕に命じた。 - 団劇スデメキルヤ伝外超