大学院卒ニート、しやわせになりたい。

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第2話「虐待のある日常」ひじをついて飯を食うな!老いた父は鎖で腕を吊すように僕に命じた。

虐待のある日常。

仕事柄、朝早く出かける父は午後の4時くらいには帰ってきて、ほとんど毎日、家族揃って晩御飯を食べる。食卓につくと、父は片方の腕は自分で手錠をつけ、もう片方は配膳を終えた母親がつける。手錠という言葉でしか僕には表現できないが、父が鎖を持って帰ってきた日から、様々な改良がされた。最新版の今は、会社の事務の人が腕につけているような感じで、布が筒状になっていて、手首を頭とするなば肘ぐらいまでが寝そべるハンモックのような形状をしている。名前が分からないから検索してみると、事務員さんが腕につけるやつは、「腕抜き」というらしい。ただ、腕抜きと大きく違う部分は手首の部分で施錠でき、自分では外せないところだろうか。

両手につけおわると、母親が紐を引き、ちょうどよい高さに調節して、晩御飯が始まる。僕は朝ごはんを食べない。だから、父は朝がかなり早いので、朝の様子は知らないが、時々、母親に確認すると、ちゃんと一通りのことをして朝ごはんを食べ、それから家を出ているらしい。

最近は、父も慣れたみたいで、家に帰ってきて、晩御飯を食べるまでの間、片腕に手錠をつけて、ブラブラさせながら、畳の上で足を大股に開いて、新聞などを読むようになった。一度、その状態でヨーグルトを食べていて、過って容器を転倒させ、畳を汚した。「片腕だから仕方がないじゃないか」と父は言ったが、母親が「もしも、今のあなたと同じ失敗を子どもたちがしたら、あなたはどう叱責しますか?」と問いただした。それからは、父は片腕の状態では、ヨーグルトなどの菓子も食べないようになった。食べたい時は、母親を呼び、両手に手錠をかけて、紐を引いてもらった状態で食べるようになった。

今日の晩御飯は、焼き魚と煮物だった。僕はなんとはなしに、額に手をあてた。指先に少しの窪みを感じる。その動作は、まるで意識したものではないが、思えば、この傷ができた……つけられた頃は、焼き魚も煮物も嫌いだったことを思い出した。子どもだったんだと思う。

過去ログ。

「今日から食事をする時は、オレの腕を天井から吊るして欲しい。」

ガシャリと茶の間の食卓の上に鎖を置いた後に、父は家族にそう伝えた。何のことか分からないで、僕達が戸惑っていると、父は黙ったまま、仕事部屋から脚立を持ってきて、茶の間の天井に簡単な工事を始めた。

ひじをついて飯を食うな!老いた父は鎖で腕を吊すように僕に命じた・第1話「コドモの恨み」。 - 団劇スデメキルヤ伝外超