「つまらない人生と思われるかも知れませんが。竜頭蛇尾なんて言葉がありますが、龍の頭になれなくても、尾になりたい。尾じゃなくても、もしも竜に足が沢山あるならば、その脇腹の足になりたい。輝くような功績を出した訳ではなく、ただ、不平を言わず……滅私奉公。私は会社に尽くした人生でした。」
「よろしい。文句なしの天国行きじゃ。」
※神様はロリ幼女です。
「本当ですか、ありがとうございます。」
「うん。お主はなかなか優秀じゃ。最近の天国行きの中では飛び抜けて優秀じゃ。」
「ありがとうございます。」
「これより表彰する。心して聞くがよい。」
「はい。」
「うむ。貴殿は、会社に滅私奉公したので、ここに表彰する。お主は、生涯を通して会社に尽くした。月の平均サービス残業時間は30時間。年にして360時間。職業人生38年を通したサービス残業時間は約1万4000時間。京都府の最低賃金で換算すると約1082万2000円、また、これは日数にすると約583日間にあたる。素晴らしい。天国に行ったあかつきは、係長職からのスタートを約束しよう。」
「ちょっとまってください。天国でも仕事、あるんですか?」
「当然じゃ。労働は美しいぞ。」
「は、はあ。もしかして、私の同僚や、私の仕えた社長も同じ会社に。」
「同僚は同じ会社におるかもだが、社長は違うぞ。」
「もしかして地獄行きだったんですか?」
「なんじゃ、急に目を輝かせおって。やつは極楽行きじゃ。」
「極楽?」
「そうじゃ。やつは電卓が破裂するくらいに残業させたからのう。天国では収まりきらん。」
「天国と極楽って何が違うんですか。」
「極楽は天国の10倍じゃ。」
「10倍?」
「うむ。もう働かんでいい。」
「…。」
「ちょっと無駄話がすぎたな。いかんいかん。前の通りから天国行きのバスが出ておるから、それに乗って…。」
「…あびゃ。」
「あびゃ?」
「…あびゃ、あびゃびゃびゃびゃやびゃびゃ!あびゃー!」
「!?」
「あびゃー!あびゃー!金よこせ!金よこせ!金よこせ!あびゃ!あびゃびゃ!あびゃびゃ!」
「いかん!発狂しおった!」
「金をよこせ!金をよこせ!金!金!金!」
「医者じゃ!医者を呼んでやれ!」
「あびゃびゃ!あびゃー!いっそ地獄に落とせ!あびゃ!あびゃ!」