大学院卒ニート、しやわせになりたい。

働かないで、アフィリエイトとか、ユーチューバーで幸せになりたいです。

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「あの、出しておいたので後で塗っておいて下さい」「はい」

「あの、出しておいたので後で塗っておいて下さい」

「はい」

今日の夫婦の会話。ほぼ、これだけ。飯、風呂、寝るなんて言葉もあるけど、それなりに自分のことができてしまう僕は、彼女にそんなことを言う必要はない。仮面夫婦、家庭内別居、独身婦人、独身仮面、色々な表現があるが、僕と彼女の結婚生活は、冷えに冷えていた。僕は彼女の部屋の前にビンを置いて去った。

だが、お互いの両親からは「孫の顔がみたい」というプレッシャーがかけられ、色々と考えてはいるけど「こんな方法」が上手く行くとも思えない。科学的なことは分からない。だけど、やはり、愛って大事なのじゃあないか?いや、科学的なことだからこそ、愛って大事なのかも知れない。

愛か。

僕が出して、彼女が塗る。それは、結婚当初から変わらないのかも知れないけど、こんなにも味気ない作業になってしまったのはどうしてだろうか?親もそうだからかも知れないが、子どもの頃から自分もお店をやるって思っていた。大学生になる頃には就職活動に勤しむ同級生達を眺めながら「自営業最高!」とすら思っていた。そして、愛する彼女と一緒にするなら、なお最高。愛だろ愛。愛。愛。

そんな風に考えていたけど、二人の中が冷えてしまったら、苦痛の連続としか言えなくなってしまった。愛してない、愛されてない他人と毎日顔を合わせる。それがこんなにも苦痛だとは思わなかった。結婚は人生の墓場なんて言うけれど、墓場よりももっと酷い冷え冷えとしたどこかだ、この状況は。しかしながら、今や彼女なしでは生活は成り立たないし、悲しいかな生理現象というか、出るモノは出るし仕方がない。やれやれ、さっき出したばかりだぞ。自分の部屋に戻る。


僕と彼女は二人でパン屋を営んでいる。そして、僕はバタバタの実のバター人間。脇の下から定期的に溶かしたようなバターが溢れてくる。それをビンに集めて、彼女に渡す。彼女はパンパンの実のパン人間だから、毎日、角質が剥げるような感じで、パンを生み出す。そのパンに僕のバターを塗って焼き上げるバターブレッドがうちの人気商品だ。バターブレッド以外はサンドイッチなどを作っていたが、バターブレッド一本で行こうか?とも、考えている。今頃、彼女は自分の部屋で僕のバターを自分のパンに塗り塗りしているだろう。

脇から染み出たバターが止まると、僕はそのままズボンを脱ぎ、「こんな方法」を実践する。今日は、満月の夜だったからだ。両足を開いて、満遍なく月光にさらす。これが、金剛南禅寺式方陣妊娠法、開いて略して「こんな方法」なのだが、本当に子宝が授かることができるのだろうか。

いっそ、どちらかがヒトヒトの実のヒト人間で、出芽するように子どもが出来たら…と考えたが、それはそれで大変そうだ。はあ。いつまでこんな生活が続くのだろうか。